★50㏄原付スクーター【VINO|ビーノ】の中古車を徹底整備する
今回は、入庫した50ccのVINOを整備していく。分解を始める前にまずは全体のチェックを行おう。消耗品や交換の必要なパーツなどを見極めて、修理しても採算が合うのかを確認してみるのだ。とはいえこの手の中古車は今や貴重となりつつあるので、出来れば復活させてあげて世の中に戻してあげたい所。早速見ていこう。
現状の確認と把握
まずは全体のシルエットを見てる。ここで見た目の印象が悪い車両はより細かいチェックが必要。ぱっと見の印象は結構重要で、同じようにくたびれていても普通に使われてくたびれているのと雑に扱われたものでは後々かかってくる費用が変わってくるからだ。
一歩引いて全体のシルエットを見ることは、割と重要なのだ。印象の良くない車両はここでやめてしまうこともある。
フロントタイヤはセンターの溝は残っているが、側面が少ない状態。こういう減り方はあまり見ないが、交換しておいたほうが親切そう。
リアタイヤはセンターにスリップサインが。真ん中のタイヤの溝が途中で途切れているのがわかる。もう交換が必要だ。
正面から。ハンドルまわりからフロントフォークまでまっすぐで、印象が良い。
グリップには使用感が。何かが付着している。白く汚れているこの個体に限らず、すり減ったり硬化しているものは交換していく。直接体に触れる部分なので、それだけでまたがった時の印象がガラッと変わる。
分解整備
ここからは実際に車両を分解してみる。外装を取り除いてみると、下のような状態だった。
全体的にほこりをかぶっているが、特にこの個体が汚いわけではなく標準的な状態。ただし、この汚れは放置すると今後確実に故障に直結するので、洗浄していく。機械の故障原因の一つに汚れがあることは言うまでもないのだ。
洗浄後の状態。洗浄してから整備をすることで余計なトラブルを防いだり、見落としも減らすことができる。何よりもメカニックの手が汚れにくくなるので、分解時の機構の内部を汚さずに済む。手術と同じで、清潔に作業することでより確実にトラブルを減らすことができる。もちろん手術経験はないので憶測にすぎないが。
上が付いていたエアエレメント、下が新品。エアエレメントは今回交換する。純正だがなぜか色が変わっていた。エアフィルターが汚れると、燃費の悪化やパワー不足など良いことは起こらない。
スパークプラグの交換。そんなに汚れてはいなかったが、今後当分ノントラブルで過ごしてほしいので交換しておく。
エンジンオイルも交換する。汚れ気味だが特に気になる鉄粉混入や白濁もなく、良好な状態だ。
ブレーキも分解してみる。特に問題なさそうだがだいぶ汚れている。
分解と清掃、グリスアップでいい状態になった。
ブレーキドラムの部品も各部平均的レベルだが汚れが見られる。
メンテナンス後。この後グリスアップして組付けてゆく。
ブレーキシューも汚れていた。放置すると利きが悪くなったり、ブレーキ鳴きの原因になる。
清掃後。これで当分は平気でしょう。
ブレーキパネルの汚れの様子。カムの動きも悪く、この感じだとブレーキレバーが重い。
清掃後。動きも格段にスムーズに。
エンジンの圧縮圧力は基準値が1.245kPaなので、良好そう。
いよいよ完成!
全体的にパリッとした印象。気のせいか?
フロントタイヤが変わって、見た目もすっきり!
リアタイヤも新品だ。
新品グリップ。手に触れる部分なので気分がいい。
まとめ
今回は当社の一般的な中古車整備を記事にしてみた。一通り分解すれば、このビーノのように安心して乗ることができるようになる。もちろん記事に取り上げていない部分も整備しているのだが、わかりやすい部分のみピックアップしてみた。ユーザー様が使い始めた後、何年も元が取れるまで安心して使って頂けるように整備することがお店の仕事であり、個人売買などでは手に入らない安心をお届けするのが存在価値かもしれない。単純にバイクを整備してお金をもらえるという状況自体が実は一番の幸せであることに疑いの余地はないのだが。 了
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